組み込み機器の開発をしているとき、
よくノーマルモードノイズやコモンモードノイズという言葉を聞きます。
私は組み込み系のエンジニアですが、ソフトウェア主体に業務をやってきているということもあり、2つのノイズの言葉の定義さえもわかっていませんでした。
たまたま最近よく評価しているボードで、電源ノイズの話が出てきていました。
ということで、この際に電源系の本やノイズの書籍について読み漁りました。
その中で、
- ノーマルモードノイズ
- コモンモードノイズ
の違いについて、もっとも分かりやすく書いてあった書籍2冊を紹介しておきます。
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1冊目:高効率・高信頼 スイッチング電源設計の勘どころ
1冊目が、
「高効率・高信頼 スイッチング電源設計の勘どころ(著者:佐藤守男)」
の3ページから4ページにかけてです。
ノーマルモードは、2本の線の両端に生じる。
2本の線にコンデンサを接続することによって減衰できる。
コモンモードは、2本の各線と大地の間に生じる。
2本の各線と大地(フレームグランド)の間にコンデンサを接続することによって減衰できる。
ページ4の図1-2を見ることによって、
ノーマルモードノイズを抑えるためのコンデンサの位置、
コモンモードノイズを抑えるためのコンデンサの位置
についてイメージを掴むことができます。
本書の初めにのところを引用します
現在のスイッチング電源は、ソフトスイッチと同期整流の2つの技術によって効率が改善されてきた。
電源の永遠の課題の一つである損失の改善に重点を置いて同期整流とソフトスイッチによる効率化の実現に向け多くのページを割いた。
効率の改善を行う経験をすると、1%の改善がいかに大変であるかが分かってくる。
電源効率80%から81%に効率改善をするためだけでも、
ハード設計は非常に苦労するということを理解しました。
2冊目:スイッチング電源の原理と設計
それから、もう一冊が、
スイッチング電源の原理と設計(著者:落合政司)
ページ9にノーマルモードノイズとコモンモードノイズについてのイメージ図と、
ノイズを測定するための測定ポイントについて書いてあります。
ノーマルモードノイズを測定する場合は、
大地アースを基準とした時の AC両極間のノイズの差を測定する。
コモンモードノイズの方は、
AC両極のノイズを加算した電圧を測定する。
図1.8の右側には、大地アースを基準に、ノーマルモードノイズとコモンモードノイズのベクトル図が書いてあります。
ノーマルモードノイズとコモンモードノイズのイメージが掴みやすくなりました。
- ノーマルモードノイズは、両極間の電圧を測定
- コモンモードノイズは、両極を足した電圧を測定
イメージを持つことができました。
スイッチング電源関係の書籍2冊を読むことで、
組み込みシステムの評価でよく出てくるノイズの話についてイメージを掴むことができました。
なお、本書の冒頭「初めに」に、
技術の習得全般にいえる大事なことが書いてありました。
引用します
「少年老い易く学成り難し」ということわざがあります。毎日の業務をつつがなくこなしていても、理屈はなかなか身に付かないものです。
周りに存在する事実を体系的に整理し、
その中から普遍なるもの(真実)を掴み取る努力が必要です。
現場での経験も必要だけど、同時に理屈の勉強も必要である。
長年エンジニアをやればやるほど、過去の経験だけで業務をしてしまう危険があります。意識的に、書籍や動画教材で勉強をする習慣をつけないといけないことを教えてくれた本でもあります。
まとめ
ノーマルモードノイズとコモンモードノイズの違いについて分かりやすい説明が書いてあった書籍2冊の紹介でした。
P.S
ソフトができて、ハードもそこそこ分かるっていう人になれば、
仕事の幅が広がります。言い方を変えると、今の職場環境を変えたいなと思っても、
比較的転職しやすくなります。
では、組み込み系、電子、電気系のエンジニアの求人は、具体的にどんな人材が求められているのか?
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