MOSFETのHigh-sideとLow-sideスイッチング時に負電位になるとは?

モータ制御(特に三相ブリッジトポロジーを持つモータドライバ)におけるHigh-sideとLow-sideのスイッチングに関連して、負電位という言葉が言及されることがあります。これは主に以下の現象や背景に起因しています

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MOSFETのHigh-sideとLow-sideのスイッチング時に負電位になるとは

  1. ブートストラップ回路の使用: 多くのモータドライバには、High-sideのMOSFETを駆動するためのブートストラップ回路があります。この回路は、Low-sideのMOSFETがONのときにチャージされ、High-sideのMOSFETがONのときにその電力を供給します。Low-sideが長時間ONの状態であると、ブートストラップコンデンサの電圧が低下し、High-sideのMOSFETを十分にオンにすることができなくなる可能性があります。このような状況下では、High-sideのゲート駆動電圧が不十分になるため、モータの相電圧が予期せず負の電圧に引き込まれる可能性があります。
  2. 誘導起電力による電圧スパイク: モータのコイルはインダクタンスを持っているため、MOSFETのスイッチング時に電流の急激な変化が起こると、誘導起電力による電圧スパイクが生じます。この電圧スパイクは、モータの相電圧を瞬時に負の方向に引き下げる可能性があります。この現象を緩和するためには、適切なフリーホイーリングダイオードやスナバ回路が必要です。
  3. 地面のバウンス: 特に高電流、高スイッチング速度の状況下では、PCBの地面トレースに電流の急激な変化が生じることで、地面電位が一時的に上昇する現象(地面のバウンス)が発生します。これにより、相対的な相電圧が瞬時に負の値を示すことがあります。

これらの現象を適切に対処するためには、モータドライバの設計やレイアウト、コンポーネントの選択など、多くの要因を検討する必要があります。

フリーホイーリングダイオードやスナバ回路とは

フリーホイーリングダイオード(フライバックダイオードやフリーウィーリングダイオードとも呼ばれる)とスナバ回路は、スイッチングデバイスを保護し、過度な電圧スパイクを減少させるために使用される回路要素です。以下に、それぞれの基本的な構成と役割について説明します。

1. フリーホイーリングダイオード

構成:

  • ダイオード1つ。

役割:

  • インダクティブな負荷(例:モーターや変圧器のコイル)が存在する回路で、スイッチングデバイス(MOSFETやリレーなど)がOFFになるとき、インダクタンスが保持しているエネルギーを逃がす役割を果たします。
  • スイッチがOFFになると、インダクタンスからの電流の途絶える経路を提供し、それによって生じる高電圧スパイクを回避します。

接続方法:

  • インダクティブな負荷の両端に対して逆方向に接続します。スイッチがONのときは非導通となり、OFFのときに導通してエネルギーを逃がします。
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2. スナバ回路

構成:

  • 一般的なRCスナバは、抵抗とキャパシタから構成されます。

役割:

  • スイッチングデバイスのスイッチング時に生じる過度な電圧スパイクやリンギングを減少させる目的で使用されます。
  • 高周波のノイズを吸収し、スイッチングデバイスのストレスを低減します。

接続方法:

  • RCスナバは、スイッチングデバイスのドレイン(またはコレクタ)とソース(またはエミッタ)間に平行に接続されます。

これらのコンポーネントの詳細な値(抵抗の値、キャパシタの容量など)は、アプリケーションや使用するデバイスの特性に基づいて選択する必要があります。また、高性能なモータドライブアプリケーションでは、ダイオードに代わって同期整流を実現するためのMOSFETを使用する場合もあります。

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