FOC制御のパルスシフト法とは?シャント抵抗の電流検出精度の向上にも

パルスシフト法は、FOC(Field Oriented Control、またはベクトル制御)の一部として特に永久磁石同期モータ(PMSM)などの制御において用いられるテクニックの一つです。この方法は、主にモータのトルクリップルや電流波形の品質を改善する目的で使用されます。

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FOC制御のパルスシフト法とは?

ベクトル制御において、PWM(Pulse Width Modulation)は電圧ベクトルの大きさと方向を制御するための主要な手段です。PWM波形は、キャリア波と比較波の関係に基づいて生成されます。通常のPWM方法では、キャリア波の周波数は固定され、比較波の形状と振幅によってPWMパルスの幅が決定されます。

パルスシフト法は、このキャリア波の位相を動的に調整することで、PWMの出力パルスの位置を微調整します。具体的には、三相のキャリア波それぞれの位相を互いに異なる量だけシフトさせることで、PWMの出力パルスの重なりやギャップを調整し、モータのトルクリップルを低減させる効果があります。

パルスシフト法の利点:

  1. トルクリップルの低減: モータの不均一な回転や振動、ノイズの原因となるトルクの変動を低減することができます。
  2. 電流波形の改善: 電流のTHD(Total Harmonic Distortion)を低減させ、モータの効率や寿命を向上させる可能性があります。

パルスシフト法の適用には、制御アルゴリズムの修正やPWM生成ロジックの変更が必要です。しかし、その結果として得られるトルクリップルの低減や効率向上は、多くのアプリケーションにおいて価値があると考えられます。

パルスシフト法は、FOCのシャント抵抗の電流リードにも活用される?

パルスシフト法は主にトルクリップルの低減やPWM波形の最適化を目的として使用されるテクニックです。しかし、シャント抵抗を用いた電流計測やリードに直接関係するかどうかは異なる問題です。

FOC制御において、モータ電流の正確な計測は非常に重要です。シャント抵抗を通して流れる電流の計測は、モータ制御の中で一般的な方法の一つです。シャント抵抗の両端の電圧を計測することで、オームの法則に基づき電流を計算することができます。

この計測方法の課題の一つは、シャント抵抗の電圧を正確に計測することに関連するノイズやオフセット、そしてADC(Analog to Digital Converter)の変換時間や精度です。これらの要因は、高速なモータ制御や高精度なトルク制御を求められる場面で影響を及ぼす可能性があります。

パルスシフト法そのものは、シャント抵抗を通る電流の計測やリードに直接関連するわけではありません。しかし、PWMの波形やタイミングの最適化は、電流計測のタイミングや精度に影響を及ぼす可能性があるため、全体の制御戦略の中で考慮されるべき点です。

まとめると、パルスシフト法自体はシャント抵抗の電流リードに直接活用されるものではありませんが、PWMの波形やタイミングの最適化と電流計測の関連性を考慮することは、高精度なモータ制御を目指す際に重要です。

でも、電流の検出精度が高めるのに、パルスシフト法が活用できるのでは?

パルスシフト法はPWMの波形やタイミングの調整に用いられますが、このテクニックは電流計測の精度を向上させるために間接的に活用されることがあります。

PWM駆動のモータ制御において、PWMのオン・オフの切り替え時にはノイズや変動が生じやすい。このため、PWMの切り替え時に電流を計測すると、誤差やノイズが乗る可能性がある。正確な電流の計測を目指す場合、PWMの切り替えがない「静かな」時期を利用して電流を計測することが望ましい。

パルスシフト法を用いることで、PWMの波形やタイミングを調整し、電流計測のための最適なタイミングを作り出すことが可能になる。具体的には、PWMパルスの位置を微調整して、ADC(Analog to Digital Converter)による電流計測のタイミングとPWMのオン・オフのタイミングが重ならないようにすることが考えられる。

このように、パルスシフト法を活用してPWMのタイミングを調整することで、電流計測のノイズや誤差を低減し、計測精度を向上させることが可能です。

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