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「世界一わかりやすい電気・電子回路 これ一冊で完全マスター」
著者は、藪哲朗さん。
交流回路の動きを勉強するのには最適な本だと思います。
本書は、300ページ以上にわたって電気‣電子回路全般について書いてあります。
- 直流回路
- 交流回路
- トランジスタ、オペアンプ、ダイオード
- 抵抗、コイル、コンデンサ
などなど、1つずつ詳しく数式を使って書いてあります。
その中でも、本書で一番何が学べるかのか?
どのような勉強したいと思ってる人が最適な本か?
と言うと、圧倒的に交流回路を勉強するのに最適です。
著者の薮哲郎さんは、同志社大学卒業。京都大学大学院修了、博士(工学)。大阪府立大学や奈良教育大学などで教えてこられた先生。
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目次
交流回路の動きが丁寧に分かりやすく書いてある書籍でした
例えば、コイルの動き。交流の信号が来た時に、電流と電圧の関係はどうなるのか?
複素数平面のベクトル図でいうと、どのような関係になるのか?
っていうのが、分かりやすく書かれています。
本書の著者の藪哲朗さんは、元大阪府立大学の教授で、今は奈良教育大学の教授をされている方。大学の理工学部とかで、電子・電気系の勉強をする学生さんにはとっつきやすい本かもしれません。
逆に、私のように大学までは理系の勉強なんてせず、
会社に入って実務で必要で電子回路の勉強をする人にとっては、ちょっと学校の勉強寄りの本かな、
と感じるかもしれません。
もし電子回路と言うか、業務で自動制御系の実務に直結した本を勉強したい方、
コイルの交流特性とかをさらっと勉強したいのであれば、
下記の記事で紹介した本の方がより実務に近くてとっつきやすいかもしれません。
自動制御の理論を電子回路ベースに学習できる本!コイル・抵抗・コンデンサの位相の考えも分かる
こちらで紹介した本は、メーカーで勤務された人が書いた本なので、より実践的です。
とはいえ、私にとって、
は、
- コイルの動き
- オペアンプの入力インピーダンスが高いとなぜいいのか?
- 高校で習った(はず?)複素数の式についての復習
を学習できたのが収穫です。
「世界一わかりやすい電気・電子回路 これ一冊で完全マスター」でメモった箇所
以下は、私が業務で、組込みシステムのエンジニアとして自動制御系の仕事をすることになった今、
実務に直結するメモ書きした箇所について書いておきます。
こんなことが書いてある本なんだなということが少しでもイメージできるために、
ブログの公開記事でメモ書きを残しておきました。
交流回路のコイルの動き
まずページ88ページ。
交流回路の基礎としてコイル。
コイルの動きって、理解が難しいんですよね。
こちらにコイルの考え方がわかりやすくまとめてありました。
電流が増加する時と電流が減少する時の動き。
88ページ引用します。
電流が増加しようとすると、それを妨げようとする電圧(電流を減らそうとする電圧)がコイルの両端に発生するためコイルは抵抗のように働く。
(途中省略)
ここで大事なのはあくまで交流の電流を流したときということです。
さらに引用します。
逆に電流が減少しようとするとき、それを妨げようとする電圧(電流を増やそうとする電圧)がコイルの両端に発生するためコイルは電池のように振る舞う
一言で言うと、コイルはあまのじゃくとも言えるかもしれません。
ちなみに、電流が変化しない時は導線と同じになる。直流に対してはコイルは導線と同じ。
ということはもちろん注意しておかなければいけません。
入力インピーダンスは大きい方がいい理由
よく業務で入力インピーダンスと出力インピーダンスの話が出てきます。
その中で、
入力インピーダンスが大きい方がいいとかなんとか、
っていう言葉をよく現場で聞くことがあります。
なんで入力インピーダンスが大きい方がいいの?
って、いうのがよくわからずに過ごしてきました。
でも、本書の178ページを読めばなんとなくイメージが分かってくると思います。
信号処理する回路においては、
入力インピーダンス Zinはできるだけ高く、
出力インピーダンス Zoutはできるだけ低く
設計するのが良い。
「ロー出しハイ受けと呼ばれている」
図4.20において、
Zin=無限大 とおくと、Zoutが何であっても V = V´となる。
Zout=0とおくと、Zinが何でもあっても V=V´となる。
V=V´となることは、出力信号 V が減衰したり歪むことなしに、回路2に伝達されることを示している。
回路2を接続することによる影響が生じないので回路1と回路2を独立に設計できる
ロー出し、ハイ受け
がいい。
この言葉を覚えておきます。
ただ、実際の設計回路設計には出力端子がショートした場合に、回路を保護するために Zoutを0にしてはいけない。
図4.15(b)中のIが小さすぎると、ノイズの影響を受けやすくなるので、Zinを高くしすぎてはいけない。
オーディオ回路では出力インピーダンスは2Ωから1 kΩ、
入力インピーダンスは10 kΩ から100 kΩ 程度にする設計が多い
この章を読むことで、
入力インピーダンスは高い方がいい。
出力インピーダンスは低い方がいい。
という説明の理解が出来ると思います。
MOSFETの特長
321ページに、MOSFET の話が出てきます。 MOSFET がトランジスタより優れているという点について書いてあるので引用しておきます。
スイッチング速度が速い
損失が少ない
大電流をオンオフする場合、パワートランジスタの電流増幅率は低いので大きなベース電流を流す必要がある。 デジタル IC の出力をそのままベースに接続することはできないが、パワー MOSFET はゲートに電流を流す必要がないので、デジタル IC の出力をゲートに接続できる
ということで、大電流を使うモータ制御などでは、MOS FET が最適ということがわかりました
極座標形式で複素数を理解する
高校の復習です。
328ページ。複素数の話が出てきます。
極座標形式で複素数を表す時、
複素数は絶対値と偏角であらわされる。
複素数の絶対値とは、原点からの距離を表します
一方で、偏角とは実軸から反時計回りの方向に見た時の角度を表しています。
本書では偏角Θが、0、π/2、π、3π/2の4つのパターンで絶対値が書かれています。
この4パターンで、なんとなく複素数の複素平面のイメージが分かると思います。
また、329ページの上側の図の説明を見れば、ejΘの絶対値が1という意味も分かると思います
まとめ
「世界一わかりやすい電気・電子回路 これ一冊で完全マスター」
電子回路全般を勉強するなら、確かにこの一冊を読むと体系的にわかります。
私がいう体系的とは、以下の意味です。
コンデンサ、抵抗、コイルのそれぞれの動きについてわかります。
直流で動かしたした時と、交流で動かした時の特徴を別の章で説明してあります。なので、直流と交流の条件別に特性を勉強することができます。
例えば、業務でいきなり、「このコイルの特性が・・・」とか、話が出てきても、
これって直流の時の話?
交流の時の話?
っていうのをごちゃまぜに考えていると、話についていけません。
だって、コイルは直流のときと交流のときは特性が違うからです。
この本を読むことで、直流と交流の時には特性が違うよっていうことを頭に入れておくことができます。
業務の時に話が出てきても、頭がごちゃごちゃにならずに済むでしょう。
理工系の学生の方はもちろん、学校の授業で参考になります。
私のように、
「業務で組込みシステムのソフトウェアエンジニアとして電子回路を扱うような仕事をしているけど、あまり電子回路、ハードウェアには詳しくない」
という方も、勉強しておくとスッキリと頭が整理されると思います。
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