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モータ制御に関する基本的な知識を身につけた後に読むと良い本でした。
「情報機器用モーター技術」
著者の渡辺さんは、キャノンに勤めている方(勤めていた方)。モーターの専門で、実際にモータの最終製品に関わっている方の実践的な本です。
プリンター、カメラのオートフォーカスやズームなどのモーター制御、CD-Rの制御など、製品に使われているモーターのシステム構成全体の話も出てきます。
- モーターを使ったシステムを組み込む、組み込みシステムのエンジニア
- モーターを使ったプログラミングをする人
が読んでおくと良い本だと思いました。
著者の渡辺智さんは、キヤノン(株)勤務、名古屋大学大学院工学部修了されてきた方。
※30日間無料体験のAmazonキンドルに加入すれば、その期間にキンドル本については無料で書籍が読めてしまいます。
メーカでモータを使った最終製品を開発されている方が書かれた実践本
出版された年数が2001年。私が読んだのは2021年。20年ほど前に出版された本なので、技術的には古い内容。
CD-ROMとか、カメラの制御とか、製品システム自体は古いもの。でも、モーターの動作原理は変わらないので、今も十分に勉強になります。
私が特に勉強になったのは本書の前半です。
特に、電気的等価回路やフィードバック制御の章です。
本書の前半には、けっこう数式が出てきます。
私は数式が苦手で内容が難しいのですが、
少なくとも、
「モーター制御でよく使う数式がこういうものだ」
っていうのはとりあえずわかりました。
数式とともに、トルクと回転速度の関係の図もあるので、数式の意味するイメージは理解できます。
以下は、私がメモしておいた箇所1点のアウトプットです。
DCモータの電気的等価回路
18ページと19ページ。
電気的等価回路を引用します
電機子インダクタンスをLaとすれば、印加電圧と電流の関係式は過渡応答解析でおなじみの
v=i*Ra+La*(di/dt)
となる。
時刻0において、E0の電圧が印加されるとして電流について式を解くと
i=E0/Ra*(1-e(Ra/La)*t)
これは時定数La/Raで増加し、最終的にE0/Raの値になる関数である。
この時定数はモータの電気的時定数
ζe
と呼ばれる。
ζe=La/Ra
これは、パルス電圧でのモーター駆動法、いわゆる PWM 駆動時などにパルス周波数を選ぶのに必要な定数であり、モータの構造にも依存するが、通常ζmに比べ一桁以上小さい値である
「過渡応答解析でおなじみの」
と書いてあったのですが、私は勉強したことがなかったので初めて知りました。
ネットでこの式を検索してみると、
確かに、「おなじみ」というぐらいたくさん情報が出てきますね。
上記で引用した式は、インダクタンス、印加電圧、電流の関係を示した式としては非常に基本的なものだということがわかりました。
いろんな大学の工学部のHPにも、この公式はたくさん出てきました。ということで、物理の勉強をしている人には基本的な内容ということが分かったので、この際覚えておくためにメモしました。
その他メモ:
ページ25:角速度を時間で積分したものが角度である
まとめ
本書は2001年に出版された約20年前の本。
とはいえ、前半はモータのトルク、電流、インダクタンスといった基本的な原理の説明が書かれています。
出てくる計算式自体は、途中の変換計算が端折られているので、本書だけで数式を全部展開されたと理解するのは難しいかもしれません。
でも、「モータ制御でよく使う基本的な公式はこういうもの」
ってことがわかります。
モータ制御をするお仕事や電子工作をする方は、さらっと目を通しておくのがおすすめです。
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P.S
モータの入門書なら下記の2冊がおすすめと思っています↓