伝達関数とは、入力と出力の関係を数式で表現したものです。
PI制御とその伝達関数
PI制御(比例-積分制御)は、伝達関数を用いて以下のように表されます:
G(s) = Kp + (Ki / s)
ここで、
- G(s) はPI制御の伝達関数
- Kp は比例ゲイン(どれだけの強さで制御するかを決める値)
- Ki は積分ゲイン(どれだけの速さで制御するかを決める値)
- s はラプラス変換の複素数変数(制御の「速さ」のようなもの)
直感的な理解のための比喩
比例制御 (Kp)
想像してみてください。あなたが車を運転していて、目的地までの距離があるとします。この距離が長いほど、あなたはアクセルを強く踏み込むでしょう。逆に距離が短い場合、アクセルを軽く踏むかもしれません。これが比例制御の部分で、距離に「比例」してアクセルの力を変えています。
積分制御 (Ki/s)
しかし、車は風や摩擦などの外部の影響を受けて速度が遅くなることもあります。こうした誤差を修正するために、あなたは過去の誤差を「積み重ねて」考慮します。例えば、風によって速度が遅くなっていた時間が長い場合、それだけアクセルを強く踏み込む必要があります。この部分が積分制御となります。
まとめ
このように、PI制御は、目的地までの現在の距離(比例)と、これまでの距離の累積(積分)の2つの情報を使って、どれだけアクセルを踏むかを決定します。伝達関数での数式はこの「どれだけアクセルを踏むか」という判断のルールを数学的に表現したものと考えることができます。