MOSFETの逆回復時間は、大きいのと小さいのとではどちらが特性がよいのでか?
またMOSFETの寄生容量(Miller容量)や逆回復に関連する電荷量(Qrr)は、大きいのと小さいのとではどちらが特性がよいのか?
こんな疑問についてメモ書き。
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MOSFETの逆回復時間や寄生容量は大きいのと小さいのとではどちらが特性がよい?
以下、それぞれのパラメータについて解説します。
- 逆回復時間 (trr)
- 逆回復時間は、ボディダイオードが順方向から逆方向へと切り替わる際に要する時間を指します。
- 小さいtrr: 逆回復時間が短いと、高速にスイッチングが可能となります。その結果、スイッチング損失が低減し、高周波の動作に適していると言えます。
- 大きいtrr: 逆回復時間が長いと、スイッチング時の損失が増大し、ノイズやEMI(電磁干渉)の原因となる可能性が高まります。
- ゲート-ドレイン間の寄生容量 (Miller容量) または 逆回復に関連する電荷量 (Qrr)
- Miller容量は、トランジスタがスイッチングする際に、ゲート電圧に影響を与える寄生容量を指します。
- 小さい容量: スイッチング速度が向上し、スイッチング時の損失が低減します。特に高周波の動作においては、小さい容量の方が有利です。
- 大きい容量: ゲート電圧の変動が大きくなり、スイッチング速度が遅くなる可能性があります。この結果、スイッチング損失が増大し、ノイズの原因となる可能性が高まります。
要するに、高速な動作や高周波の応用を目指す場合は、逆回復時間(trr)が短く、寄生容量が小さいMOSFETが好ましいと言えます。しかし、応用や使用状況に応じて適切なMOSFETを選択することが重要です。
逆回復時間 (trr)・ゲート-ドレイン間の寄生容量 (Miller容量) ・電荷量 (Qrr)はどう関係している?
逆回復時間 (trr)、ゲート-ドレイン間の寄生容量 (Miller容量)、および逆回復に関連する電荷量 (Qrr) は、それぞれMOSFETの異なる特性を表す用語ですが、MOSFETの動作やスイッチング挙動に関連しているため、ある文脈では関連して考えられることがあります。それぞれの特性について簡単に解説します。
- 逆回復時間 (trr):
- これはMOSFET内部のボディダイオードの特性に関連するもので、ボディダイオードが順方向から逆方向へと切り替わる際に要する時間を指します。
- 逆回復に関連する電荷量 (Qrr) もこの逆回復プロセスに関連し、ボディダイオードが逆方向へ切り替わる際に移動する電荷の量を示します。
- ゲート-ドレイン間の寄生容量 (Miller容量):
- これはMOSFETのゲートとドレイン間の寄生容量を指します。MOSFETがオン/オフを切り替えるとき、この容量がゲート電圧に影響を与えることがあります。特に、ドレイン電圧の変動が大きいとき、この寄生容量を通じてゲート電圧も変動します(これをミラー効果と呼ぶこともあります)。
これらのパラメータは、MOSFETのスイッチング挙動やエネルギー損失に影響を与える要因として関連しています。たとえば、trrやQrrが大きいと、スイッチング時の損失が増加する可能性があります。一方、Miller容量が大きい場合、ゲート駆動回路の要求が増加し、スイッチング速度が低下する可能性があります。
しかし、これらのパラメータは異なる物理的・電気的メカニズムに基づいており、それぞれ独立してMOSFETのデータシートに記載されることが多いです。