製品を海外市場に展開する際、CE認証(欧州向け) や FCC認証(米国向け) を取得する必要があります。しかし、「これらの認証は日本国内で取得できるのか?」「海外の試験機関に依頼しなければならないのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、CE認証とFCC認証の概要を説明し、日本国内で取得可能かどうか、また取得方法について調べた内容を記載します。
スポンサーリンク
目次
CE認証とFCC認証とは?
CE認証とは(欧州向け)
CE認証は、**EU(欧州連合)**市場に製品を販売するために必要な認証です。CEマークを取得することで、製品がEUの安全・環境・健康基準を満たしていることを証明します。
適用対象:
- 電子機器(EMC、LVDなど)
- 無線機器(RED指令)
- 玩具、医療機器、機械など
代表的な試験規格例:
- EMC指令(EN 55032、EN 61000シリーズ)
- 低電圧指令(EN 62368-1)
- RoHS指令(EN 63000)
FCC認証とは(米国向け)
FCC認証は、米国市場で販売される電子機器や無線機器が、電波干渉や安全基準に適合していることを証明するものです。米国連邦通信委員会(Federal Communications Commission)が規制しています。
適用対象:
- 無線通信機器(Wi-Fi、Bluetooth、5Gなど)
- 放射ノイズを発生する電子機器(パソコン、家電など)
代表的な試験規格例:
- FCC Part 15(EMC要件)
- FCC Part 18(医療機器や産業機器向け)
CE認証は日本国内で取得できるのか?
CE認証の試験機関(国内 vs 海外)
結論:日本国内で取得可能です。
CE認証の試験や適合評価は、日本国内の認証機関や試験所でも対応しています。ただし、適合宣言(DoC)を発行する最終的な責任は製造者にあります。
日本国内でできること:
- 各種試験(EMC試験、LVD試験、RoHS試験など)
- 技術文書(Technical File)の作成サポート
- ノーティファイドボディ(NB)の代理申請
国内で対応可能なCE認証機関
以下の試験機関は、日本国内でCE認証の試験・評価を提供しています:
- TÜV Rheinland Japan(テュフ ラインランド ジャパン)
- EMC、LVD、機械指令など幅広く対応
- SGSジャパン株式会社
- CEマーキングの各種試験対応
- Intertek Japan(インターテック ジャパン)
- 無線機器やエネルギー効率規制の試験
- Bureau Veritas Japan(ビューローベリタス ジャパン)
- CEマーキング全般の試験
FCC認証は日本国内で取得できるのか?
FCC認証の試験機関(国内 vs 海外)
結論:日本国内でも取得可能です。
FCC認証の試験は、日本国内の試験機関で実施でき、最終的な申請手続きも代理機関を通じて対応可能です。
ただし、FCCの認証には次の2種類があります:
- SDoC(Supplier’s Declaration of Conformity)
- 比較的簡易な自己適合宣言(例:デジタル機器など)
- Certification(認証手続き)
- 認定試験所(TCB:Telecommunication Certification Body)による正式認証が必要(例:Wi-Fi機器など)
国内で対応可能なFCC認証機関
日本国内でFCC認証を取得できる機関の例:
- UL Japan(ユーエルジャパン)
- 米国認証に強み、FCC、UL認証などに対応
- TÜV SÜD Japan(テュフズード ジャパン)
- 無線機器のFCC試験を提供
- EMC Testing Labs Japan
- 小規模事業者向けの迅速なFCC試験サービス
CE認証・FCC認証の取得方法
認証を取得するための一般的な手順は以下の通りです。
1. 適用規格の特定
製品に適用される規格を確認(例:EMC、LVD、RED、FCC Part 15 など)
2. 試験機関の選定
国内の試験機関を利用するか、海外の認定機関に依頼するかを決定。
3. 試験の実施
規格に基づいた適合試験を行う。
4. 技術文書の作成
試験レポート、設計図、リスク評価などの技術ファイルを作成。
5. 適合宣言(DoC)の作成
CE認証の場合、製造者自身がDoCを作成しCEマークを貼付。FCCの場合は認証機関の承認を取得。
まとめ
- CE認証やFCC認証は日本国内でも取得可能。
- 国内試験機関を利用すれば、言語の問題を回避しつつスムーズな認証が可能。
- CE認証は自己適合宣言が可能だが、FCC認証は特定機関の認証が必要な場合がある。
- 製品の種類や市場に応じて、国内試験と海外認証機関のどちらを選ぶかを決定するとよい。