欧州連合(EU)で製品を販売するためには、CE認証の取得が必要です。しかし、「CE認証の項目はどのように分かれているのか?」や「各項目を別々の機関で取得する必要があるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、CE認証の各項目について詳しく解説し、試験の依頼方法についても紹介します。
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目次
CE認証とは?
CE認証(CEマーキング)とは、EU市場に製品を流通させるための「安全性」や「環境適合性」を証明するマークです。CEマークが付与された製品は、EU加盟国全域で自由に販売できます。
製品の種類によって適用される規制が異なり、CE認証を取得するためには、関連する指令(Directive)に適合する必要があります。
CE認証の主要な項目一覧
CE認証を取得する際、以下の主要な項目に対応する必要があります。製品の種類によって、どの指令が適用されるかが決まります。
EMC指令(2014/30/EU):電磁両立性
- 適用規格例:EN 55032、EN 61000-3-3
- 内容:
製品が外部への電磁波(EMI:Electromagnetic Interference)を抑え、他の機器へ干渉を与えないことを確認する試験。 - 対象製品:IT機器、家電製品、AV機器など
LVD指令(2014/35/EU):低電圧安全性
- 適用規格例:EN 62368-1(情報機器)、EN 61010(計測機器)
- 内容:
電気製品が感電や火災を防ぐための安全要件を満たしていることを評価。 - 対象製品:50V以上のAC製品や75V以上のDC製品(電源アダプタ、家電など)
RoHS指令(2011/65/EU):有害物質制限
- 適用規格例:EN 63000(技術文書作成)
- 内容:
製品に含まれる鉛、水銀、カドミウムなどの有害物質が制限値以下であることを確認。 - 対象製品:電子機器、玩具、電動工具など
RED指令(2014/53/EU):無線機器の適合
- 適用規格例:EN 300 328(Wi-Fi、Bluetooth)、EN 301 489(EMC要件)
- 内容:
無線通信機能を持つ製品が、電波の送受信や安全性に関する要件を満たしているかを確認。 - 対象製品:スマートフォン、Wi-Fiルーター、無線機器
ErP指令(2009/125/EC):エネルギー効率規制
- 適用規格例:EN 50564(省エネ測定方法)
- 内容:
製品の省エネルギー性能を評価し、エネルギー消費の最適化が行われているかを確認。 - 対象製品:照明機器、家電、オフィス機器
CE認証の各項目は別の機関で取得が必要?
CE認証の各項目(EMC、LVD、RoHSなど)は、必ずしも別々の機関で取得する必要はありません。
1. ワンストップサービス(総合認証機関)
TÜV(テュフ)、SGS、Intertekなどの大手認証機関では、全項目を一括で試験・認証することができます。
メリット:
- 手続きの簡略化
- コストの削減(まとめて依頼することで割引が適用される場合あり)
- 認証プロセスの短縮
2. 分割して別の機関に依頼する場合
場合によっては、専門的な試験機関に各項目を別々に依頼することも可能です。例えば:
指令 | 依頼先例 | 例 |
---|---|---|
EMC | EMC専門試験所 | EN 55032試験 |
LVD | 電気安全試験所 | EN 62368-1試験 |
RoHS | 化学分析機関 | EN 63000試験 |
メリット:
- それぞれの分野に特化した詳細な試験が可能
- 依頼先を自由に選択できる
CE認証の取得方法
CE認証を取得するための一般的なステップは次のとおりです。
- 適用指令の特定(製品にどの指令が適用されるかを確認)
- 試験機関の選定(ワンストップか個別依頼かを決定)
- 試験の実施と適合証明書の取得
- 技術文書(Technical File)の作成
- 適合宣言書(DoC)の作成
- CEマーキングの貼付と市場投入
まとめ
- CE認証には複数の指令があり、製品ごとに異なる要件が適用されます。
- 試験は「すべてを一括で依頼」するか、「各項目ごとに依頼」するかを選択できます。
- ワンストップサービスを活用すれば、時間とコストを節約できるため、効率的にCE認証を取得可能です。
製品のCE認証取得についての詳細や、最適な試験機関の選び方について疑問がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。