「バススイッチって、実際どこで使われるの?」という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。この記事では、回路設計・組み込み機器・サーバーシステムでのバススイッチの使われ方を、5つの実例で解説します。
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目次
1. I²Cバスの切り替え(マルチマスタ回避)
I²C通信では、複数のマスター(MCU)が同じバスを共有する際、信号が衝突するリスクがあります。バススイッチを使えば、物理的にI²Cバスへの接続を切り替えることができ、安全なマルチマスタ構成が可能になります。
用途例: マイコン2台が1つのセンサを交互に読み取る構成など。
2. ホットスワップ対応(拡張カードやストレージの抜き差し)
サーバーや産業機器で使われるホットスワップ(電源ONのまま機器交換)では、信号ラインの一時切断が必要です。バススイッチを挟むことで、安全に信号を遮断し、機器交換ができます。
用途例: SATAやUSBラインのホットプラグ制御など。
3. BMC(Baseboard Management Controller)とCPUのバス切替
サーバー設計では、BMCとCPUが同じI²Cライン(温度センサやVRM制御)を共有することがよくあります。バススイッチを使えば、タイミングに応じてアクセス元を切り替えることができます。
用途例: BIOS起動時はCPU → 運用中はBMCが同じセンサを監視、など。
4. テストモードと通常動作の切り替え
製品の量産検査時には、通常とは異なる信号ラインを通してテストを行うことがあります。バススイッチを使えば、テストモードと通常モードの接続先を物理的に切り替えることができます。
用途例: 製造ラインでのテスト信号出力、JTAG切替など。
5. 電源断対策・信号の引きずり防止
電源OFFのICやセンサが、I²CやSPIバスを引きずってしまい、全体が誤動作することがあります。バススイッチで信号ラインを切れば、電源OFF中のデバイスを完全に切り離すことが可能です。
用途例: センサユニットのスリープ時や故障時のバス保護。
まとめ:バススイッチは見えないところで回路の安全と柔軟性を守る
バススイッチは、小さなスイッチICでありながら、回路の切替や誤動作防止、セキュリティ強化など、さまざまな現場で活躍しています。特に、マルチマスタ構成、ホットスワップ、BMC制御、テストモード切替など、「回路の切り替え」が必要な設計では欠かせない存在です。
「CS(チップセレクト)だけで足りるのか?」と感じたときこそ、バススイッチの導入を検討してみてください。