ボード線図(Bode plot)は、システムの周波数応答を示すために使用されるグラフです。一般に、ボード線図は二つの部分から構成されています:ゲインのプロットと位相のプロットです。これらはシステムの動的挙動、特にフィルター、アンプ、制御システムなどの周波数依存性を理解するのに役立ちます。
以下は、ボード線図の各部分と、ゲインと位相の関係の見方についての基本的なガイドです。
1. ゲインのプロット:
- 何を示しているのか: ゲインのプロットは、システムの周波数に対する振幅応答を示しています。これは、入力信号に対する出力信号の比率(ゲイン)をデシベル(dB)単位で表示します。
- 見方: 横軸には対数周波数が、縦軸にはゲイン(通常デシベル単位)がプロットされます。グラフが右に進むにつれて周波数が上昇し、グラフが上に行くほどゲインが増加します。
2. 位相のプロット:
- 何を示しているのか: 位相のプロットは、システムの周波数に対する位相応答を示しています。これは、入力信号と出力信号間の位相差を度数(°)で示します。
- 見方: こちらも横軸には対数周波数が、しかし縦軸には位相角(度)がプロットされます。位相角は、システムが周波数に応じて信号を遅延させる量を示しています。
ゲインと位相の関係:
- 安定性とパフォーマンス: ゲインと位相のプロットは、システムの安定性とパフォーマンスを理解するために一緒に使用されます。例えば、ある周波数でのゲインが高く、位相遅れが大きい場合、システムは不安定になりやすいです。
- クロスオーバー周波数: ゲイン・プロットが0 dBのラインをクロスする点を「ゲイン・クロスオーバー周波数」といいます。この周波数で、位相プロットが-180°に近い場合、システムは不安定になる可能性が高まります(位相余裕が少ない)。これは「位相クロスオーバー周波数」と呼ばれることがあります。
まとめ:
ボード線図を正しく読み解くことは、システムの動的性能を理解し、設計を最適化するために重要です。ゲインと位相の関係を見ることで、システムの安定性、帯域幅、および遅延などの重要なパラメータを推定できます。