真空技術や圧力センサの分野でよく登場する「ピラニ真空計(Pirani Vacuum Gauge)」。
この記事では、初心者の方でも理解できるように、ピラニ真空計の仕組みや使い方、活用事例までをわかりやすくご紹介します。
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目次
ピラニ真空計とは?
ピラニ真空計とは、気体の熱伝導性を利用して真空度(=気体の圧力)を測定するセンサの一種です。
真空度の測定範囲としては、中真空(約0.1Pa〜数千Pa)の領域に適しています。
仕組み:熱の逃げやすさを測ることで圧力を知る
🔧 基本原理
- 細い金属線(フィラメント)を電気で加熱する
- 周囲の気体が多いと熱が逃げやすく、フィラメントは冷える
- 気体が少ない(=真空)と熱が逃げにくく、フィラメントが熱いまま
- フィラメントの温度変化(電気抵抗)を測定し、気体の熱伝導性=圧力に換算
どんな場所で使われるの?
📌 主な用途:
- 半導体製造装置(真空チャンバーの監視)
- 分析装置(質量分析、電子顕微鏡など)
- 真空ポンプの状態管理
- 医療装置や研究設備での真空制御
- 真空包装機や乾燥機の制御システム
メリット・デメリットまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
✅ メリット | 小型・安価・応答性が良い |
❌ デメリット | 測定精度は気体の種類に依存する(要校正) |
似たセンサとの違いは?
- 冷陰極真空計:もっと高真空領域(10⁻⁵ Pa以下)を測定
- 熱電対真空計:同じく熱を使うが、構造が異なる
- 圧電式センサ:直接的に力(圧力)を受けて測定する方式
ピラニ真空計は、「中真空を手軽にモニタリングする」というポジションに優れています。
よくある質問(FAQ)
Q1. フィラメントは消耗しますか?
→ はい、連続使用で劣化するため、定期的な交換や校正が必要です。
Q2. 圧力単位は何で表示されますか?
→ Pa(パスカル)やTorr(トール)が一般的です。
まとめ:ピラニ真空計は中真空領域の測定に最適な熱式センサ
ピラニ真空計は、熱伝導の変化を電気信号に変換して圧力を測るという、シンプルながら高度な技術です。
半導体・医療・分析装置などの精密な真空制御に欠かせないセンサのひとつとして、今後もさまざまな応用が期待されます。