FOC(Field Oriented Control)またはベクトル制御とは、ACモータ(特に永久磁石同期モータや誘導モータ)の制御方法の一つで、モータの動作特性を最適化するためのものです。この制御方式において、モータの実際のフィールド方向を考慮しながら電流を制御することで、高効率かつ高精度なトルク制御を実現できます。
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三次調波加算とは?
三次調波加算に関しては、多くの場合、モータの電流波形の品質向上やトルクリップルの低減を目的としています。モータ駆動において、トルクリップルはモータの不均一な回転やノイズの原因となることがあります。
一般的に、モータの電流波形は純粋な正弦波とは異なり、高次の調波成分を持っていることが多いです。特に、PWM(Pulse Width Modulation)によるモータ駆動では、この調波が顕著になる場合があります。三次調波加算は、基本的な波形に三次の調波成分を意図的に加えることで、これらの不都合を低減する効果があります。
この方法は、特に高速域や高トルク域でのモータ動作において、トルクの均一性を向上させるために用いられることが多いです。三次調波の適切な加算量や位相は、モータやドライブの特性によって異なるため、具体的な適用においては実験やシミュレーションを通して最適な条件を求めることが一般的です。
要するに、三次調波加算は、モータの電流波形に三次調波を加えることで、トルクリップルの低減や効率の向上を図るテクニックの一つとして理解してください。
では、三次調波とは?
三次調波とは、基本波(第一調波)の周波数の3倍の周波数を持つ調波のことを指します。例えば、基本波が50Hzの場合、三次調波は150Hzとなります。
一般的に、電気の世界では、波形が正弦波からずれている場合、その波形は複数の正弦波(調波)の合成として表すことができます。これをフーリエ変換やフーリエ級数展開といった手法を使用して波形を解析すると、基本波だけでなく、その整数倍の周波数を持つ調波が存在することが分かります。
これらの調波成分の中で、三次調波は特に注目されることが多いです。なぜなら、三相電力システム(特に非線形負荷を持つシステム)では、三次調波は同相成分として現れるため、中性線の電流を増加させる原因となることがあるからです。
非線形負荷とは、電流と電圧の関係が線形ではない負荷のことを指し、例えば整流回路やインバータ、電子機器などがこれに該当します。これらの負荷は、正弦波の電圧を受けて非正弦波の電流を引き起こすことがあり、その結果、調波が発生します。
三次調波の影響は、電源の歪みや変圧器の熱損失の増加、電線や機器の寿命の短縮など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。そのため、電力システムやモータ駆動システムなどの設計や運用において、調波の影響を低減するための対策が求められることが多いです。