GaN FETとIGBT。ごちゃ混ぜの会話が仕事でなされているときに、わからなくなってきたのが下記の区別。
- GaN-FETのVgss
- IGBTのGge
これらは、用語は違っても同じ意味なのか?
整理しておきます。
結論をいうと、概ね同じ意味です。
具体的には、両者ともにデバイスのゲート端子とソース/エミッタ端子間の電圧を示しています。それぞれのデバイスで若干異なる特性がありますが、基本的な役割は同じです。
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目次
GAN FETのVgss(Gate to Source Voltage)
GaN FET(ガリウムナイトライドフィールドエフェクトトランジスタ)のVgss(Gate to Source Voltage)は、ゲートとソース間の電圧を指します。これは、デバイスをオンまたはオフするための制御電圧です。
- 定義: GaN FETのVgssは、ゲート端子とソース端子間に印加される電圧を意味します。
- 役割: この電圧を調整することで、GaN FETをオン/オフさせ、電流の流れを制御します。
IGBTのVge(Gate to Emitter Voltage)
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のVge(Gate to Emitter Voltage)は、ゲートとエミッタ間の電圧を指します。これもデバイスをオンまたはオフするための制御電圧です。
- 定義: IGBTのVgeは、ゲート端子とエミッタ端子間に印加される電圧を意味します。
- 役割: この電圧を調整することで、IGBTをオン/オフさせ、コレクタからエミッタへの電流の流れを制御します。
比較
- 基本的な役割
- 共通点: 両者ともに、ゲートに印加する電圧によってデバイスのオン/オフを制御します。Vgss(GaN FET)もVge(IGBT)も、デバイスのスイッチング動作において重要な役割を果たします。
- 動作特性
- GaN FET: GaN FETは高効率で高速スイッチング特性を持ちます。Vgssは一般に±10V程度で動作します。
- IGBT: IGBTは高電圧・高電流のスイッチングに適しています。Vgeは通常15V前後で動作します。
なぜこの2つは名前が違うのか?
ソース (Source) とエミッター (Emitter) は、それぞれ異なる種類のトランジスタで使われる端子名です。これらの端子名の違いは、デバイスの内部構造と動作原理の違いに由来します。
MOSFETとIGBTの違い
- MOSFET (Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor):
- 端子名: ゲート (Gate)、ドレイン (Drain)、ソース (Source)
- 動作原理: MOSFETは、電界効果を利用してソースとドレイン間の電流を制御します。ゲートに印加される電圧によって、チャネルが形成され、電流が流れます。ソースはキャリアの供給源となります。
- 例: GaN FETは、ガリウムナイトライドを使用したMOSFETの一種です。
- IGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor):
- 端子名: ゲート (Gate)、コレクタ (Collector)、エミッター (Emitter)
- 動作原理: IGBTは、MOSFETとバイポーラ接合トランジスタ (BJT) の特性を組み合わせたデバイスです。ゲートに電圧を印加してMOSFET部分をオンにし、その後バイポーラ動作によって大電流を流すことができます。エミッターはキャリアの放出端です。
ソース (Source) とエミッター (Emitter) の違い
ソース (Source)
- 使用デバイス: MOSFET、JFET、GaN FETなど
- 役割: ソースはキャリア(電子またはホール)の供給源です。MOSFETでは、ソースからドレインへ電流が流れる経路を制御します。
- 名前の由来: 「Source」はキャリアの供給源(供給元)を意味します。
エミッター (Emitter)
- 使用デバイス: BJT、IGBTなど
- 役割: エミッターはキャリアの放出端です。BJTやIGBTでは、エミッターからキャリアが注入され、コレクタを通って電流が流れます。
- 名前の由来: 「Emitter」はキャリアの放出(放射)を意味します。
ソースとエミッターの言葉の違いは、デバイスの構造と動作原理の違いに基づいています。MOSFETやGaN FETでは「ソース」がキャリアの供給源を意味し、IGBTやBJTでは「エミッター」がキャリアの放出端を意味します。それぞれのデバイスが異なる動作原理を持っているため、適切な端子名が使われています。
MOSFET(GaN FET)とIGBTの端子名称を整理
こちらの図は、MOSFET、GaN FET、IGBTの3つのデバイスにおける端子の位置関係を示しています。それぞれのデバイスで使用される端子の名前が異なることがわかります。
- MOSFET
- Gate: ゲート端子
- Drain: ドレイン端子
- Source: ソース端子
- GaN FET
- Gate: ゲート端子
- Drain: ドレイン端子
- Source: ソース端子
- IGBT
- Gate: ゲート端子
- Collector: コレクタ端子
- Emitter: エミッタ端子
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まとめ
GaN FETのVgss(Gate to Source Voltage)は、IGBTのVge(Gate to Emitter Voltage)と基本的に同じ意味を持ちます。どちらもデバイスのオン/オフを制御するためのゲート電圧を示しています。ただし、具体的な動作電圧や特性はデバイスの種類によって異なるため、それぞれのデバイスの特性に応じた制御が必要です。