組み込みソフト開発エンジニアとフィールドアプリケーションエンジニア(FAE)は、それぞれ異なる役割を持ち、市場の需要やキャリアパスにも違いがあります。それぞれの特徴と市場の動向を比較してみましょう。
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目次
1. フィールドアプリケーションエンジニア(FAE)とは?
FAEは、営業に近い技術支援の役割を担うエンジニアで、次のような業務を行います:
- 顧客技術サポート
- 顧客の技術的な課題を解決し、自社製品の導入を促進
- 仕様説明、技術トレーニング、トラブルシューティングの支援
- プリセールス活動
- 営業チームと連携し、顧客の要件をヒアリングして適切な技術提案を行う
- 自社製品の技術的優位性を説明し、競合との差別化を図る
- マーケティング支援
- 市場の動向や顧客のニーズをフィードバックし、製品開発部門と連携
- デモンストレーション、展示会の対応
- 設計サポート
- 顧客の開発を技術的にサポートし、製品の最適な活用方法を提案
2. 組み込みソフト開発エンジニアとの比較
比較項目 | 組み込みソフト開発エンジニア | フィールドアプリケーションエンジニア(FAE) |
---|---|---|
仕事内容 | 実際のコード開発・デバッグ | 技術サポート・顧客対応・提案 |
勤務スタイル | 内部開発(オフィス勤務) | 顧客対応(出張や外勤が多い) |
求められるスキル | C/C++、RTOS、ドライバ開発、回路知識 | コミュニケーション、プレゼン力、製品知識 |
市場の需要 | 継続的な需要はあるが成熟分野で競争が激化 | IoT、AI、車載など成長分野で高い需要 |
年収の傾向 | 500万〜800万円程度 | 700万〜1,200万円(外資系ならさらに高い) |
キャリアパス | 開発マネージャー、スペシャリスト | テクニカルセールス、マーケティング、経営層 |
働き方 | 製品に深く関わるが、長時間労働が多い | 柔軟な働き方が可能だが顧客対応の負担がある |
ストレスの種類 | 技術的課題や納期プレッシャー | 顧客対応や売上ノルマのプレッシャー |
3. 市場の需要と将来性
(1) 組み込みソフト開発エンジニアの需要
- 産業機器、車載、医療機器などで需要は安定していますが、AI、IoT化の影響で従来の技術だけでは価値を維持するのが難しくなっている。
- 技術の進化(クラウド連携、セキュリティ)に追いつく必要がある。
- 新規分野(エッジAI、リアルタイム制御など)では高い需要が見込める。
(2) FAEの需要
- IoT、AI、クラウド化により、顧客のシステムは複雑化しており、技術知識を持つ営業的なエンジニアの需要が急増。
- 特に外資系企業(NVIDIA、Qualcomm、Intelなど)ではFAEの年収水準が高く、専門知識を持つ人材が不足している。
- 5G、自動運転、スマートファクトリーなどの分野で引く手あまた。
→ 現在の市場ではFAEの需要が高まっており、特に英語対応ができると高収入のチャンスが広がる。
4. どちらが多いか?
- 数としては組み込みソフト開発エンジニアの方が圧倒的に多いです。
→ しかし、FAEは少数精鋭で、市場価値が高く、転職市場での競争率も低い。 - 組み込みエンジニアの中でも、一定の経験を積んでFAEにキャリアチェンジする人が増えている傾向があります。
5. 高収入を狙うならどちらが有利か?
- 短期的な高収入を狙うならFAEの方が有利。
- 外資系、車載分野、クラウド連携などを扱うFAEは1,000万円以上の収入も狙える。
- 英語力があると外資系企業への転職のチャンスが広がる。
- 組み込みエンジニアの場合、特定分野のスペシャリストになることで高収入も可能。
- 例えば、リアルタイムOS、セキュリティ、AI組み込みなどの専門知識を極める。
6. どちらのキャリアを選ぶべきか?
FAEをおすすめする人
- 顧客対応が好きで、営業寄りの仕事に興味がある。
- 出張や柔軟な働き方を楽しめる。
- 自社製品の技術サポート・提案にやりがいを感じる。
- 英語力を活かしたい、もしくは伸ばしたい。
組み込み開発を続けるべき人
- 技術に深く関わり続けたい。
- コーディングやデバッグが好きで、新しい技術に挑戦したい。
- 製品の開発プロセスに関わりたい。
結論:どちらの需要が高いか?
市場の規模としては「組み込みソフトエンジニア」の方が多いですが、FAEの方が希少性が高く、給与水準も上がりやすい傾向があります。
組み込みソフトの経験を活かしてFAEにキャリアチェンジすることで、技術+営業のスキルを兼ね備えた「ブリッジ人材」として高く評価される可能性があります。
もし「技術だけでなく、ビジネスにも関わりたい」と思うなら、FAEへの転身はキャリアアップの良い選択肢になるでしょう。