HighサイドMOSFETの電源にブートストラップの回路を使うメリットやチャージポンプとの違いも

モータ駆動回路のHighサイドMOSFETの電源にブートストラップの回路を使うメリットを教えてください。また、そもそもブートストラップ回路とは何?

また、チャージポンプとの違いは?

ブートストラップ回路とは、モータ駆動回路やその他のハーフブリッジやフルブリッジトポロジーで使用されるハイサイドMOSFETを駆動するための回路の1つです。以下に、ブートストラップ回路の特徴やメリット、そしてチャージポンプとの違いについて説明します。

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ブートストラップ回路とは:

  1. ブートストラップ回路は、ハイサイドMOSFETのゲートを駆動するための電圧を供給する簡単な回路です。
  2. この回路は、ブートストラップキャパシタとダイオードから成り立っており、モータ駆動回路の動作中にキャパシタを充電します。
  3. 通常、ハイサイドMOSFETをオンにするためには、そのソース端子よりも高い電圧がゲートに必要とされます。ブートストラップ回路は、この追加の電圧を提供するために使用されます。

ブートストラップ回路のメリット:

  1. 単純さ: ブートストラップ回路は、少ない部品で構成され、実装が容易です。
  2. 低コスト: ブートストラップ回路は、特別な高電圧供給を必要としないため、コストが低いです。
  3. 効率: 適切に設計されたブートストラップ回路は、ハイサイドドライバの効率的な動作を可能にします。

チャージポンプとの違い:

  1. 動作原理: ブートストラップ回路は動作中のモータ駆動回路から電圧を取得してキャパシタを充電しますが、チャージポンプは一連のスイッチングアクションを使用して電圧を増加させることでキャパシタを充電します。
  2. 常時動作: チャージポンプは継続的に動作することができるため、ブートストラップ回路が適切に動作しないような静止状態や低周波数での動作に適しています。
  3. 部品数: チャージポンプは通常、ブートストラップ回路よりも多くの部品を必要とします。

総じて、モータ駆動やスイッチングアプリケーションの要件に応じて、ブートストラップ回路またはチャージポンプを選択することが推奨されます。

ブートストラップ回路で作ったHighサイドMOSFETの電源電圧は高耐圧?

ブートストラップ回路を使用すると、ハイサイドMOSFETのゲート駆動電圧をモータ駆動回路のバス電圧よりも高くすることができます。これは、ハイサイドMOSFETのゲートを適切に駆動するために必要です。

なぜなら、ハイサイドMOSFETのゲートをオンにするためには、そのゲート-ソース間電圧 (Vgs) が一定のしきい値以上でなければならないためです。モータ駆動回路のようなハーフブリッジ構成では、ハイサイドMOSFETのソースはスイッチングによって変動します。このため、ゲートをオンにするための電圧は、ソース電圧よりもはるかに高くなる必要があります。

ブートストラップ回路の動作原理を簡単に説明すると以下の通りです:

  1. ハイサイドMOSFETがオフのとき、ローサイドMOSFETはオンです。このとき、ブートストラップダイオードは順方向にバイアスされ、ブートストラップキャパシタが充電されます。
  2. ハイサイドMOSFETをオンにするとき、ローサイドMOSFETはオフになります。このとき、ブートストラップキャパシタからハイサイドMOSFETのゲートへ電流が供給され、ゲートをオンにするための十分な電圧が確保されます。

この方法で、バス電圧以上の電圧をブートストラップキャパシタに蓄えることができます。そして、この蓄えた電圧は、ハイサイドMOSFETのゲートを駆動するのに使用されます。

ただし、ブートストラップ回路が効果的に動作するためには、ローサイドMOSFETが定期的にオンオフする必要があります。もしローサイドMOSFETが長時間オフの状態が続くと、ブートストラップキャパシタの電圧は徐々に低下します。このような場合、チャージポンプのような別の駆動方法を検討する必要があります。

ブートストラップ方式のモータドライバICは対応電圧が200Vなど、非常に高いですがなぜですか?

ブートストラップ方式を用いたモータドライバICが高い電圧に対応できるのは、ICの設計や内部の素子技術に関連しています。以下、その理由を説明します:

  1. 素子の耐圧特性: IC内部のMOSFETやトランジスタは、高耐圧技術を使用して設計されることが多いです。特にパワーMOSFETは、ドレイン-ソース間の耐圧特性に重点を置いて設計されます。
  2. 絶縁技術: ハイサイドドライバとローサイドドライバの間の絶縁技術も進化しています。これにより、ハイサイドのスイッチングノイズや高電圧がローサイドドライバや制御部に影響を与えることが減少します。
  3. 回路設計: ブートストラップ回路自体は、ハイサイドMOSFETのゲート駆動電圧を提供するためのものであり、直接的にICの耐電圧性能とは関係ありません。しかし、モータドライバICの回路設計は、高電圧環境での動作を考慮して行われています。
  4. 保護機能: 高耐圧のモータドライバICは、過電圧や過電流などの異常状況に対する保護機能を内蔵していることが多いです。これにより、外部の異常な状況からICを守ることができます。
  5. パッケージング技術: ICのパッケージングも高電圧対応を考慮した設計がされています。これにより、内部の素子間や端子間の絶縁性能が向上します。

これらの理由により、ブートストラップ方式のモータドライバICは200Vなどの高い電圧に対応することができるのです。ただし、実際に使用する際は、ICのデータシートに記載されている絶対最大定格や推奨動作条件を確認し、それを超えないように注意が必要です。

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