デジタル回路や組み込みシステムでよく登場する「バススイッチ」。この記事では、バススイッチとは何か、どんな仕組みなのか、そしてどのように使われるのかを初心者向けにわかりやすく解説します。
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目次
バススイッチとは?
バススイッチとは、半導体で作られた「電子的なスイッチ」です。デジタル信号ライン(バス)を接続・切断するために使われます。物理的に接続をオン・オフできるため、複数の回路の切り替えや、誤動作防止に重要な役割を果たします。
バススイッチの仕組み
バススイッチは内部にMOSFET(電界効果トランジスタ)を使い、制御信号(たとえばマイコンのGPIO)によってスイッチのオン・オフを決めます。オン抵抗が低く、数Ω程度なので高速デジタル信号にも対応できます。また、信号の向きに関係なく双方向に通すことができるのも特徴です。
ポイントまとめ
- オン抵抗が小さい(数Ω程度)
- 双方向伝送が可能
- 高速スイッチングが可能(数ナノ秒オーダー)
バススイッチの使い方・活躍する場面
バススイッチはさまざまな場面で使われます。代表的な例を紹介します。
I²CやSPIバスの切り替え
複数のマイコンやセンサが同じI²C/SPIバスを使うとき、衝突を防ぐためにバススイッチを使って接続・切断を制御します。
ホットスワップ対応
ストレージや拡張カードの抜き差し(ホットスワップ)時に、信号ラインを一時的に切断するためにもバススイッチが活躍します。
テストモード切り替え
製造時の検査やテストで、通常ラインとは別のテストラインに切り替えるためにも使用されます。
チップセレクト(CS)とバススイッチの違い
SPI通信などではチップセレクト(CS)信号でスレーブデバイスを選択できますが、物理的に信号を切断するわけではありません。バススイッチは、電気的に完全に接続を切ることができるため、マルチマスタ構成や電源断対策、セキュリティ向上など、CSでは実現できない役割を持っています。
代表的なバススイッチ製品例
- Texas Instruments: SN74CB3Q3251
- Nexperia: CBT系列
- ON Semiconductor製品
まとめ
バススイッチは、単なるスイッチですが、信号の切り替えやバスの安全制御に欠かせない重要なパーツです。組み込み機器、サーバー、PC、IoTデバイスなど幅広い分野で活躍しています。設計時に「CS制御だけで本当に大丈夫か?」と感じたら、バススイッチの導入も検討しないとですね。